2014年2月16日日曜日

福島の刑事さんと取調室での会話(みんな「刑事コロンボ」のファンだった)




おととい、福島の刑事さんたちによる取り調べは終わりました。

結論から言うと、非常に私を丁寧に扱ってくれました。

そして以下のようなびっくりするような褒め言葉まで

「竹野内さんは僕の人生の先生のようですよ」

「竹野内さんが刑事になったらとても似合うと思います」

調書を終わらせた後は、

「どうも福島では聞いたことのない、放射能のいろいろ教えていただきありがとうございました」と頭を下げていただきました。

というわけで、非常に良い雰囲気の中で、敬意をもって接していただき感謝している私です。

(もしかして私がツイッターで逐一報告していたのが怖かったかも?)

でも起訴するかどうかは警察とは別の検察ですし、まったく油断はできないと思っています。

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私は結構ドジな部分があるのですが、告訴対象の文言は「人体実験」だったそうです。

てっきり「世紀の罪人」の方かと思い、ブログにもそのつもりで書いていました。

私の部屋に刑事さんが来た2月13日の木曜日、弁護士さんも交えて訴状の一部を見させてもらうと、「人体実験エートス」に印がついていました。

以下が告訴の対象ツイートです。

世紀の罪人2人に共通項→日本に原発導入した中曽根康弘「2011年の日本がこんなにくたびれているとは思わなかった。」

福島で人体実験エートスを主催する(御用)市民活動家、安東量子「戦後67年かけて辿り着いたのが、こんな世界とかや。」長崎の日にて

はっきり言って、私は人体実験と言う言葉は、悲しいながらも今の福島の現状に当てはまっており、これを撤回するというつもりは毛頭ありません。

私は刑事さんに言いました。

「刑事さん、事故前の福島の空間線量をご存知ですか?文部科学省が発表していた・・・」

「え、わかりません」

私「0.038μSv/hですよ!0.038! 今は福島でそれの何倍になっていると思いますか!

だいたい外部被曝だけでこれだけですからね!これに原発事故だから大量の放射性微粒子が環境中にばらまかれ、風にのって舞ってしまうので、呼吸からくる呼気被曝もあれば、食べ物からくる被曝もあるんですよ!」

私「そうだ!刑事さん知っています!?エートスが依拠しているICRPですけどね、20年トップを務めて退職した人物は、『内部被曝に関しては、ICRPの数値は二ケタ低く見積もっている可能性がある』と告白したのですよ!」

刑事「えええ、そうなんですか?」

私「そうです!これを見てください。私が刑事さんに送った本の最後の方に、引用しているんです!」

私は自分が翻訳し、かなり丁寧な訳注やあとがきを付けた『人間と環境への低レベル放射能の脅威』の最後の方のページを開けて見せました。

今回、刑事さんが沖縄に来る前に、自分は真面目に被曝問題を勉強し、根拠に基づいてエートス批判をしていることを知らせるために、あらかじめ、お手紙とこの本と、雑誌記事、『内部被曝』のあとがきなどを送っていたのです。

刑事「竹野内さん、明日は調書をふたつ取らせてもらいますね。竹野内さんの身上書のようなものと、もうひとつは、この『人体実験』と言う言葉をどうして用いたかを中心にした、告訴状を対象とした文書です。」

私「わかりました。ではちょっと軽くまとめてきましょう。」

刑事「今日はコンピュータの画像のチェックなどが済めばよいので、早めに帰ります。明日は10時と言いましたが、できれば9時にお願いします。」

私「え、病児保育に子供を連れていくので、9時ぴたりには来れませんが、なるべく早く行きます。」

刑事「わかりました。お願いします。」

ということで次の日、私は那覇警察署へ。

入り口脇の掲示板には、「行方不明者」のポスターではなく、「迷い犬」「迷い猫」の張り紙が所狭しと張っていある。こういうのも警察が扱うんだ。。。中に一枚、「迷い鳥」というインコがいなくなったというのもありました。

なつかしい・・・私も小学校5年か6年の時、飼っていた青い手乗りインコがいなくなり、半狂乱になって探したことがあるのです。筆字で書いたポスターも何枚も作り、張ったがついに出てくることはなかったなあ。1,2週間はしくしく布団の中で泣いていたなあ。

アンパンを食べながらなつかしく張り紙を見ていたら、福島の女性刑事さんが下りてきて、2階に呼ばれた次第です。

「眠れましたか?」

「ええ、まあ眠れました」

私はこの刑事告訴事件が起きてから、今までのように8,9時間も眠るということがなくなっていました。

5,6時間も寝れば十分になってしまっていました。

無意識にいつも緊張しているからだと思います。

さて、2階に行き、取調室に入ったが、まったく想像したものとは違っていました。

だいたい、那覇の警察の方が大勢働いている部屋(なんという部屋だか忘れてしまった!)を通って、大部屋のいちばん奥に調室というのが。

だから私の想像していた、たぶんみんなも想像していた隔離された取調室とはまったく雰囲気は違ったと思います。

しかも福島の刑事さんは、「ここ、開けっ放しでやりましょうかね?」とか言ってくださるものだから、まるで個室ではなく、私のでかい声は、明け離れたドアの前を行き来していた那覇署の警官の人たち数人にも聞こえていたと思うのです。


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(取り調べ直後にメモ書きをして記憶をたどって打ち込んだものに多少手を加えました)








***以下、調書内容***
99年から原発電源喪失事故と晩発性がんの増加についての米国人科学者を聞き、日本のような地震国では原発が事故を起こしたら大変なことになると、以来原発を止めてほしいと訴えるようになりました。
2002年には国際原子力機関に単独直訴もしましたし、市議会の選挙に地震と原発のポスターを掲げて立候補したこともあります。


ところが、残念なことに3.11事故は実際に起こってしまいました。
逃げる前にできたら外国人記者クラブで訴えたいと、他の人にも相談していた私は、息子と3月15日の午後に東京を出ました。
あとから15日の午前中に一番濃い放射能雲が来ていたことを知りましたが、私と息子はその時所要を済ませるために二人とも外に居ました。
一か月後くらいに3か月くらい被曝としか思われない異常な発熱や咳や痰の症状が出ました。
私たちでさえそうなのですから、この数倍被曝しているであろう福島の子供たちはどうなってしまうのだろうかと強く移住を訴えてきました。
一番大事なのは健康被害を防ぐことであり、風評被害を防ぐことではありません。

だいたい私はただ騒いでいるのではありません。自分でいろいろ調べたり、翻訳などから得た知識や実際に聞いた話や発表されたデータで日英でブログを書き、ツイッターで広めるようになりました。

自腹で事故後に子供を連れてNYに行き、NY医学医学アカデミーで健康被害がすでに日本で自分も含めて起きているという発表をしたり、オーストリアのIAEAや国連科学委員会UNSCEARに直訴もしてきました。IAEAには断られましたが、UNSCEARの女性には会って60ページにわたる英文文書も手渡しています。

ところで2012年夏、エートスという市民団体を知りました。エートスとは放射能汚染された土地でも線量を測ったりしながら積極的な生活をする団体です。

(エートスとはフランスが発祥の団体で、フランスのジャーナリストや日本のある活動家の文章を見たのが始まりでした。)

しかし原発事故は実際に置き、放射線に微量でも長時間さらされることで、人体、特に子供たちに様々な影響が出てきます。

その子供たちに線量計をぶら下げて生活させるというのは信じられず、私は線量計を下げている子供の写真を見るたびに胸が締め付けられました。

(肺などは一粒のアルファ線でも肺がんを起こしうることは証明されています。実際、チェルノブイリでも心臓病、糖尿病、呼吸器障害、免疫疾患などあらゆる疾病が増えています。)


実際チェルノブイリでフランスのジャックロシャール氏のやったエートスプログラムの後、ベラルーシの子供たちがエートスの後で重症入院患者が10倍に増えたなど、たくさん健康被害を起こしているのです。
私は福島の子供たちを一刻も早く助けたくて、ツイートを狂ったようにしました。
さらにエートスの代表である、安東氏にも同じように批判ツイートをしました。


それで私が以下の批判ツイートのひとつで、安東氏が刑事告訴対象としたものです。・・・


 世紀の罪人2人に共通項→日本に原発導入した中曽根康弘「2011年の日本がこんなにくたびれているとは思わなかった。」
福島で人体実験エートスを主催する(御用)市民活動家、安東量子「戦後67年かけて辿り着いたのが、こんな世界とかや。」
長崎の日にて




中曽根氏は第五福竜丸の事件直後、反核運動の中で、日本テレビの重役がCIAと発案した「毒を持って毒を制せ」という戦略の中で原子力予算を通過させました。


福島事故は自分の責任でも起こっているのに、NHKでそれをまったく顧みない上記のセリフを言っていたことを「原子野のバッハ」という本で読みました。

安東氏は、長崎の日にまるで自分が被害者であるような歌を詠んでいました。



原発導入と、被曝放置という行為を自分たちがやっているにも関わらず、知らないふりをしている両者に共通点があると思いました。 


エートスには、白血病の発症メカニズムに詳しく、安東氏に親しい伴信彦教授がいます。動物実験では、造血幹細胞の老化と特定遺伝子の変異で、白血病が1~2年後に発症するメカニズムを解明した大学者です。
その同じ人物が、福島の汚染地帯で妊婦も子供も居てよいと言う、神経が理解できません。


さらに東大の早野と坪倉は、ホールボディーカウンターの測定で、福島の子供たちは1mSv以下の被曝しかしていないから安全であるという論文を発表しました。


しかしこの論文における1mSv=体内3万ベクレルというICRPの基準を用いています。これは60kgの大人で500Bq/kgにあたり、これは放射性廃棄物の5倍の濃度です。人体がそのような濃度になって健康でいられるはずがなく、実際チェルノブイリではこの濃度で死者が出ています。


 一方チェルノブイリ事故後、患者の遺体解剖や病理研究を行ったバンダジェフスキー博士は10Bq/kgから子供の心臓に異変があると発見しており、早野氏の仲間の坪倉正治医師はこの事実を認知しています。けれども論文発表では、福島の子供たちは安全であると発表しています。


 このような学者らと協力し、放射能汚染下での積極的な生活を推奨すること事態、人体実験に加担しているのも同然と思っています。


 私は今まで鎌田さんに対し、言葉がきつかったとはおもいますが、具体的に反論があれば、なぜ反論しなかったのでしょうか
鎌田さんにも語り掛けましたが、無視され続け、一度は公開討論会も仲介者を通して実現しそうになりましたが、結局しませんでした。


言葉そのものだけを見れば過ぎたかもしれませんが、福島の子供や未来世代の命のかかった問題です。

今回の件が侮辱罪に当たるとは全く思っていません。


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 内容はだいたい以上です。

面白かったのが、最後に「私小学生のころから刑事コロンボのファンなのですよ」と言ったらその場にいた二人の福島の刑事も、僕も!私も!と。

また、「竹野内さんは刑事に似合う」と言われたのはこの上ない褒め言葉だったと思います。

先日、コロンボシリーズを久々に見たのですが、あんなにファンだった理由の一つが、「追い詰める相手がたいがい社会的に地位の高い犯人であった」ことも、あるなあと思いました。

それを一見冴えないコロンボが、切れる頭脳と執拗さで追い詰める。とてもかっこいいと思い、小学生の私は「こんなひとだったら結婚してもいいなあ」と思っていたのでした。。。



5月12日に出ました重要英文記事と和訳

なぜ福島の警察と検察は国や東電を追わずシングルマザーを追っているのか?

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